資源の現状
様々な科学技術分野で世界を牽引している日本。
これは大量のレアメタル
レアメタル
1.地殻中の存在量が比較的少ない元素
2.単体として取り出すことが技術的に困難な元素
3.資源の産出国が偏在している
を満たす元素のことを言い、現代の産業に欠かせない”産業のビタミン”と呼ばれる。別名マイナーメタル。
などの金属資源
金属資源
鉱物資源の一種。さらにレアメタル、マイナーメタルに分けられる。
によって支えられています。
しかし、それらを手に入れることは決して容易なことではありません。
金属資源について
みなさんは金や銀などの金属資源にどのようなイメージを持っていますか?
上の図のように様々なイメージがあると思いますが、金属資源にあまり馴染みがないという方が多いのではないでしょうか。
私たちもこのサイトを作る前まではあまり考えたことがありませんでした。
しかし私たちの今の便利な生活は金属抜きでは語ることはありえません。
実は、私たちの身の回りはその金属資源であふれているのです!
テレビやエアコン、冷蔵庫、洗濯機、車、時計、LED照明、スマートフォン...
金属が使われている製品を挙げるときりがありません。
このように、私たちの生活は金属資源によって支えられているのです。
生産量の増加
世界全体で一体どれくらいの金属が掘られているのでしょうか?
下のグラフは世界の主要な金属の生産量の推移を表すものです。
このグラフを見ればわかるようにオイルショック オイルショック 1970年代に2度発生した、原油の供給逼迫および原油価格の高騰に伴い、世界経済全体がきたした大きな混乱の総称である。 石油危機または石油ショックとも称される。 などの影響で一時的に減少に転じることはあるものの、全体的には指数関数的な増加が続いています。 特に1950~1970年と2000年以降で特に増加が激しくなっています。 この理由はそれぞれ、1950~1970年は戦後復興を進めるヨーロッパと先進国へ移行しつつある日本、韓国、台湾による金属の大量消費、2000年以降は中国とインドの急速な近代化によるものと考えられます。 このように見ると、アフリカ諸国の近代化がどんどん進む今、金属生産量がますます増加していくのは予測できます。 となれば、金属資源が枯渇し、今のような生活が送れなくなる日はそう遠くないかもしれません。 実際、東京大学先端科学技術研究センター准教授 醍醐市朗先生とのインタビューの中で私たちはこのようなお話を聞きました。
「つい10年くらい前までは、銅鉱石中の銅の濃度はまだ1%くらいありました。でも、今ではそれを使いつくしてしまって、日本だと0.6%くらいが最上級です。ちょうどこの間聞いた話では、もう0.3%くらいももう使わないといけなくなっているそうです。なので、みんな枯渇に近づいているというのは薄々感じています。」
資源枯渇は着実に迫っています。
しかしながら、生産量の増加を緩めることができずにいるのが苦しい現状です。 そのため、このままでは2050年までにスマートフォンが作れなくなってしまうという事態が起こりうるのです。
資源の偏在
下のグラフを見てください。
各金属元素について生産量シェア上位3か国が全生産量に占める比率を表したものです。
なんとほとんどの元素において上位3か国が生産シェア70%以上を占めていますね。
しかしこれはほんの一部に過ぎず、レアメタル
レアメタル
1.地殻中の存在量が比較的少ない元素
2.単体として取り出すことが技術的に困難な元素
3.資源の産出国が偏在している
を満たす元素のことを言い、現代の産業に欠かせない”産業のビタミン”と呼ばれる。別名マイナーメタル。
の大半が全埋蔵量の半分以上を上位3か国によって占められているのです。
必要な金属資源
金属資源
鉱物資源の一種。さらにレアメタル、マイナーメタルに分けられる。
のほぼすべてを海外から輸入している日本は、この金属資源の偏在のために1か国に依存する割合が大きいため、その国の都合によって大きな影響を受けるというのが現状です。
ただ金を払えば金属資源が得られるという世界ではありません。
例えば、もし中国が国の都合で禁輸政策を実施すれば、日本はおろか世界の経済発展は間違いなくストップしてしまうでしょう。
つまり中国が世界の経済状況のカギを握っているといっても過言ではありません。
このように資源の偏在は各国の立場における格差を生む要因になりうるのです。
経済発展の裏側
金属資源 金属資源 鉱物資源の一種。さらにレアメタル、マイナーメタルに分けられる。 は自動車やパソコン、スマホなどの最新技術に欠かせません。 そのため、政治面はともかく技術面が発展している国が増えている今、入手困難な資源や需要が急増した資源を求める営みによって生態系が乱されたり、村々が破壊されたりすることがあります。 よく中東で石油を求めて紛争が勃発し、犠牲者が多数出た...というニュースは耳にしますよね。 実は金属資源をめぐる戦争というものもあり、それによって多数の人が命を落としました。 この章ではそうした戦地の代表例であるコンゴ民主共和国について少し紹介したいと思います。
アフリカ大陸中央部に位置するコンゴ民主共和国は金属資源が豊富で、収入源の多くを資源の輸出に頼ってきました。 そんなコンゴ民主共和国では2回大きな紛争がありました。 それは第一次コンゴ戦争、第二次コンゴ戦争と呼ばれます。 紛争のきっかけはコンゴ民主共和国の隣国、ルワンダでの民族間問題でした。 この紛争にコンゴ民主共和国周辺のな国が介入し、紛争規模が拡大していった結果、540万人以上の人々が命を落としました。 紛争が終わったとされる現在でも多くの難民が祖国に戻れないまま避難生活を続けています。
一見資源と関わりがないように思えますが、実はコンゴ紛争に周りの国が介入した目的の1つに資源の確保がありました。 コンゴ民主共和国の豊富な資源を得ようとするがために軍事協力をしたのです。 さらに、現地の資源を強制的に奪おうとする集団も現れました。 つまり、周辺諸国は資源を確保するためにコンゴ民主共和国の人々を都合よく利用し、それによって非常に多くの人の命が奪われたのです。
この話は日本ではあまり知られていないのかもしれません。 それは仕方のないことだと思います。 しかし、こうした国から日本が恩恵を受けてきたのは紛れもない事実です。 この話は私たちが知らなければいけないことの1つなのかもしれません。
※なお、この話は国連の人道支援活動をメディアが報じたために広く知られるようになりました。 私たちが知らない悲劇はまだたくさんあるはずです。 このような犠牲者がなくなることを心から願います。
また、資源が採れる場所に住む人々への対応にも問題があるのは確かです。 中国のバヤンオボー鉱山は豊富な金属資源を含んでおり、中国の主な鉱床となっています。 そんなバヤンオボーがある包頭市は採掘が進められるにつれてたくさんの工場が建てられ、町が整備されていきました。 そんな中バヤンオボーの現地の人々は多大な犠牲を払わされました。 というのは、かつての農地を奪われたうえで、採掘業に雇われるか、バヤンオボーを出ていくかという選択を迫られたのです。 また資源開発によって大気が汚染されたり地下水が変色したりして、現地の人々への健康被害も懸念されるようになりました。 私たちは、普段使っているスマホや家電がこうした犠牲の上に成り立っているということを自覚しなければなりません。
まとめ図解
こうして見ると、あらゆる事柄が何らかの関係で結びついていることがわかりますね。 今ある問題をどうすれば解決できるのか、今解決すべき問題から因果関係を辿って考えてみてください。
参考文献
・『図解よくわかる「都市鉱山」開発』(原田幸明・醍醐市朗、日刊工業新聞社・2011年8月1日)
・『資源論 メタル・石油埋蔵量の成長と枯渇』(西山孝、丸善出版・2016年4月12日)
・『レア RARE 希少金属の知っておきたい16話』(キース
ベロニース 著・渡辺正 翻訳、化学同人・2016年3月10日)
・現代アフリカにおける資源収奪と紛争解決
―紛争資源を対象とするターゲット制裁は紛争解決をもたらすか―
・HUFFPOST「死者540万人以上-日本のメディアは報じない、コンゴ紛争とハイテク産業の繋がり」
・ケータイゴリラ「ケータイゴリラ
ゴリラを守れ!携帯電話回収キャンペーン」
・別表 専門分野等一覧表
より引用